fullyGOTO 2019年 冬号
表紙の顔 田口 夕侑乃さん
今回冬号の表紙を飾ってくれたのは、田口 夕侑乃さん 24歳。海なし県である岐阜県のご出身で、大学から関西へ。そこで1年間企業勤めをした後、縁あって今年4月から新上五島の奈良尾郷へやって来ました。
今年7月にオープンした「Goto Adventure Inn」で、SUPやスノーケリングなどアクティビティのインストラクターと、「カフェ「ならおのまとの」」のスタッフとして日々奮闘中。ハキハキとした印象で、笑顔がとっても素敵な田口さん。一体どうしてここ奈良尾で働くことになったのか、またどういう暮らしぶりをしているのかお聞きしました。
- 人生の転機となった出会い
「関西の大学を卒業後、就職先も関西に決まったためそこで1年間企業勤めをしました。
保険会社での営業の仕事と学生時代大手コーヒーチェーン店で働いた経験が、今の接客にも役立っているのかなと思います」と語る田口さん。後輩が「パーソナルネイチャーガイド自遊庵」代表の水村昌司さんと知り合いだったことから繋がり、それが運命的な出会いとなります。水村さんが上五島でネイチャーガイド「Goto Adventure Inn」を立ち上げる計画をしていること、それに向け従業員を探していることを知ります。学生時代は体育会ボート部に所属し、船舶免許も取得。マリンスポーツに親しみを持っていた田口さん。また大学のゼミで、地域に関わる活動をしていたこともあり、水村さんの話を聞くうち、どんどん引き込まれて行ったと言います。「自分の本当にやりたかったこととリンクして、ここで働きたい!と強く思いました」その後、1年間勤めた企業を退職。
4月には奈良尾にやって来ました。
- ルーティンワーク
「奈良尾に来て、7月にアクティビティ部門がオープンするまでは、毎日海に入りガイドとしての特訓をしていました。」そしてシーズン中はアクティビティのインストラクターとして従事、今は朝からカフェの準備と営業、宿の準備やお客様の受け入れと忙しく動き回っています。住まいは車で五分の場所にある一軒屋をスタッフみんなでシェア。毎日賑やかに楽しく暮らしているそうです。
- どこか懐かしい雰囲気の奈良尾が好き
育った場所は岐阜県の内陸部、海は近くになかったけれど、自然が多いところでした。「自然とは小さい頃から慣れ親しんでいたので、ここでの暮らしに違和感や不安はないですね」と話す田口さん。休みの日はほとんど島で過ごしていて、車で図書館に行ったり、有川の方までカフェに出掛けたりと、上五島暮らしを楽しんでいるようです。そして「趣味はコーヒー」と言うほどのコーヒー好き。「ならおのまとの」で出しているコーヒーも田口さんが淹れていて、暇さえあれば焙煎や淹れ方などの研究をしているそう。
- 自分の人生は自分の責任で
「一度きりの人生。そして今はいつ何が起こるかわからない時代。出会いとチャンスを逃さず、思いのままに生きたいと、奈良尾行きも決めました」12月からの4ヶ月間は関西に戻る「2拠点ワーク」。「関西でも自然に関わる仕事をしようと思っています。生活環境が違うと目線も変わり、来シーズンまた上五島での仕事に活かせると考えています」そう語るしっかり者の田口さん。自分の人生に責任を持ち、思い切り楽しんでいる姿が眩しく見えました。
- 応援企業 Goto Adventure Inn 様
上五島の奈良尾に、今年7月にオープンした、ネイチャーガイド「Goto Adventure Inn」では、「SUP」「スノーケリング」「カヤック」「トレッキング」の4つを軸に、上五島の自然を体験できるアクティビティを提供しています。運営するのは、スキー教師や登山ガイド、潜水士などの資格を持ち、関東で大人のキャンプや子どもの野外教育プログラムなど数々の事業を
企画運営してきた「パーソナルネイチャーガイド自遊庵」代表の水村昌司さん。いわば自然遊びのプロフェッショナル。
奥様のお母様が上五島の出身で、酒屋と釣具屋をやっていた実家が空き家になっていることを知り、その空き家を活用し、自然の宝庫である上五島で何か自分にできることは無いかと、2年前から考え始めました。そんな中、参加した五島関連のイベントで色んな方面の方との出会いがあり、地元の方とも繋げていただくことで次第にそれは現実となっていきました。
- 「自然と人」だけでなく、「人と人」もつなげていけるような存在に
今年7月、アクティビティ部門をオープン。
ウェブサイトを見つけて来てくださる島外のお客様も多かったそう。10月には宿として、またカフェ部門の「ならおのまとの」も続いてオープン。畳や建具のデザインから小物に至るまで、地元業者の方やスタッフみんなの斬新なアイデアが、随所に光る素敵な空間です。
今は飲食店も宿泊施設も少なくなってしまった奈良尾ですが、昔は人口密度が日本で一番高かった時代もあったそうで、「せっかくフェリーや高速船が行き交う港町ですし、少しでも足を止めてもらえるよう、奈良尾を活気づかせようと頑張っている地元の方たちとも協力していきたいです。またカフェで提供するものは極力上五島で生産されたものを使用し、お客様に興味を持っていただくことで生産者のストーリーを伝えられたらいいなと思っています」
田口さんの働きぶりをお聞きすると「4月5月は片付け作業も多い毎日でしたが一生懸命頑張ってくれました。真面目で自分で考えて行動してくれるので頼もしいです。
デザインのセンスもあるので、カフェの内装などのアイデアも出してくれますし、カフェの看板も彼女が作ったんです」と見せてくれた看板は、手書きで温かみのあるほっとするデザイン。水村さんの人間性が、田口さんを引き寄せたのだと実感しました。
【所在地】新上五島町奈良尾郷381―1
【連絡先】0959―44―1722
【運営】パーソナルネイチャーガイド自遊庵
【代表】水村昌司
fullyGOTO2019冬号掲載
【取材・執筆・掲載】fully編集部