fullyGOTO 2019年 夏号
表紙の顔 山家ヤスエさん
今回夏号の表紙を飾ってくれたのは、山家ヤスエさん29歳。
日本のほぼ裏側の国、ブラジルのご出身で、3歳から日本に住んでいたこともあり、ポルトガル語はもちろん、英語、日本語も巧みなトリリンガル。
2年前ここ福江島に移住し、ご主人と4歳になる息子さんと3人で暮らしています。
今年の4月、アウトドア用品のレンタル業「DUNNAS」を起業。
知的でグラマラスな印象を持ちながらも、話してみると自然体でとってもチャーミング。
身近な人たちからは、「ラウラさん」との愛称で呼ばれているそうです。
ご主人との出会いは大学4年生の時。
「子育てをする中で、都会ではなく田舎で暮らしたいという思いが強くなり、移住先を探し始めました。九州をあちこち見て回り辿り着いた五島を、主人がすっかり気に入ってしまって。息子と一緒に来てみたら、自然の豊かさと静けさに圧倒されました。ここで子供を育てたい!と強く思いこの地に移住することを決めました。」
五島で暮らし始め、子供と一緒に自然の中で遊ぶことが多くなるにつれ、ある思いがヤスエさんの心に湧いてきました。
「五島の良さは、自然の中に何もないところだけど、何もないと子供連れには不便なこともあります。夏場は日影を探すのに苦労したり、冷たい飲み物がすぐに手に入らなかったり。それはきっと他のママ達も感じているはず。そんな時、アウトドアで使うアイテムをシェアするサービスがあったらいいなと思いました。
島に住む方や観光客が、必要なアイテムをシェアできたら合理的だし、観光や暮らしを数倍楽しむことが出来るのではないかと考えました。」
ヤスエさん自身が実際に直面し困ったことを解決したいという思いが起業のきっかけとなったのです。
ご主人がご兄弟で経営するセレンディップホテル1階を店舗として間借りして、HP等で予約を受けた商品の配達と回収のみを行います。
商品のメインはビーチで使うアイテム。
泊りのない「デイキャン」用のグッズや、移動に最適な電動自転車など。(詳しくはHP https://dunnas-goto.com/ インスタグラム「DUNNAS.GOTOISLAND」に掲載)
① 美しいこと
② 合理的であること
③ 自然であること
「エコを意識し、自然とともに生きていくためのコンセプトや理念を持った会社の商品や、フェアトレードの商品を吟味して取りそろえています。
動物性のものを使わないビーガンバックやラグは見た目も素敵で長持ちしますし、自然に優しくて美しいものを日常に取り入れることで心も豊かになると思っています。
また電動自転車は排気ガスを出しませんし、外国人で免許がない人にも気軽に自然を楽しんでいただけます。
そしてただ景色を見るだけでなく「体感」してもらいたい。
「朝は6時に起床、家族のために朝ごはんを作り家事をして、9時前に幼稚園バスで息子を見送った後レンタル用品の配達や、回収したアイテムのメンテナンス、営業やPR活動など自分の仕事を開始します。3時半頃には息子が帰ってくるので、それ以降は子供との時間。家族との時間は大切にしたいので、今後もこのライフスタイルは崩したくないと思っています。」
「子育てに行き詰った時は行きつけのカフェで、顔なじみの先輩ママたちに相談しています。大丈夫大丈夫!の言葉にいつも救われていて、そこに来る子供たちも息子と仲良くしてくれるので、本当に助けられていると感じています。
また、五島は今グローバルで、個人で起業している面白い移住者が多いと感じます。コラボで仕事をしたり、イベントを開催するなどコミュニティが広がっていくのも楽しいです。」
学生時代、東京で、経営学や各国の文化やアート、経済について学んでいたというヤスエさん。五島に初めて来た時の感動と、子育てから導き出された島ならではの素敵なサービスはその知識が活かされているのですね。人生どこでどう繋がるかわからない。彼女からそんなことを学ばせてもらった気がしました。
fullyGOTO2019夏号掲載
【取材・執筆・掲載】fully編集部