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第28回 五島で輝いている人

有限会社はたした 代表 畑下 直さん

五島列島新上五島町中通島の北部、小串郷で、漁と海産物の加工品を製造販売している有限会社はたした。上五島の名産品である「あごだし」で有名です。今回はこちらで代表を務める畑下直さんのご紹介です。

焼き飛魚作りの習慣を繋ぐ

 ご両親は飛魚専門の漁師。畑下さんは、幼いころから家業である飛魚漁や、焼き飛魚などの加工製造に慣れ親しんで育ちました。帰島後、漁協で職員として働いていた直さんですが、焼き飛魚を作る家庭や漁師さんが減っていく現実に対峙。その習慣を伝えていく為転職を決意し、平成16年に焼き飛魚を中心とした水産加工会社「有限会社はたした」を立ち上げました。

これからが飛魚漁の本番

 9月から10月が漁期である飛魚。今の時期は畑下さんも毎日漁に出ています。新上五島町近海の飛魚の特徴は、出汁に一番合う小さい飛魚が獲れる事。出汁には、脂が少ないほうが適しており、全国では長崎県の平戸と、この小串のある有川湾でしか獲れません。北東の風が吹くと漁の合図。二隻の船で網を曳き、湾に回流してきた飛魚を捕獲します。

 獲れた飛魚は、従業員の方達が串刺しにし、炭火焼の作業。同じ串にはほぼ同じ大きさの飛魚が手早く刺され、まさに職人技です。飛魚漁はこの時期のみ、焼あごを周年加工するため、漁獲してすぐに凍結保存しています。

はたしたの焼きあごだし

 はたしたのあごだしの特徴は、なんといっても香りの良さと、旨みの強さ。炭火焼きをすることで、遠赤外線効果もあり、臭みのない良い出汁に仕上がります。加えて、市場では混合だしが多い中、ここでは飛魚100%出汁。純粋で芳醇な飛魚だしの味わいを楽しめます。

年間を通して様々な旬の魚を

 飛魚の他にも、漁協等から仕入れるその日に水揚げされたカマスや鯛、ムツなどの旬の魚を、塩干や味醂干しなどの加工品にして販売しています。

イチオシはムツの味醂干しと飛魚明太。炭火焼を頂きましたが、ムツはふっくらとした身に濃厚な旨みが広がり、飛魚明太は飛魚の上品な味わいが明太子の辛みと旨みを引き立て、どちらも一瞬で完食でした。

「今何のあるね~?」

 現在直販以外だと、電話とFAXでの購入が可能。常連さんからは、「今何のあるね~?」と聞いたり、「〇〇の入ったら連絡ちょうだい~」と電話をもらう事もあるそう。魚はその年や時期によっても獲れるものが違ったりするので、まさに上五島の今の旬をお取り寄せ。近年なかなか電話注文が疎遠になりがちですが、畑下さんのやさしい声を聞くと、電話後はきっと朗らかな気持ちになりますよ。

これからの「はたした」

 現在は、無添加の飛魚だし醤油作りに奔走中。原材料として醤油の次に飛魚と並ぶような、飛魚が多く入った醤油を目指しています。

 畑下さんの優しい人柄が、余計なものは一切使わず、土地の名産である飛魚の魅力が一番発揮される商品作りへと繋がっているのだなと感じました。

 

有限会社はたした
電話 0959-43-8995
FAX 0959-43-8995
住所 〒857-4601 長崎県南松浦郡新上五島町小串郷1299-9

【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2021秋号

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