金沢鮮魚 代表 金澤竜司さん
魚の旬は年に2回
魚はどの種でも、年に二度の旬が。「一度目は栄養を身体にため込む産卵前、そして、二度目は産卵の数か月後。
再び栄養を取り身体を戻すため身がしっかりとします。魚種により産卵時期は違うので、旬の時期も異なります。五島近海でも、春夏秋冬それぞれに旬のおいしい魚がたくさんあります。」
「おいしい」という有難みを余すことなく
そんなおいしい魚を獲る一次産業は、自然の営みがあってこその産業。また、仲買の仕事もまた、海の恵を受ける仕事です。だからこそ、五島という地の利が生きたおいしい魚を、無駄なく、余すことなく私たちが頂けるよう、こだわっているのが「金沢仕立て」。まるのままの発送はもちろんですが、金沢仕立てを施した魚は、「血抜き」「神経締め」に加え1日手当を行い真空包装で届けられます。驚くのはその持ちの長さ。一般的な鮮魚より1~2週間長持ちさせることができるそう。「最初の手入れ一つで、長くおいしく頂けるので、食材ロスにも繋がります。また、さばいた後の頭や内臓などもたい肥作りに活用。なるべく自然の循環から離れない取り組みをしているのが金沢鮮魚の特徴です。」
海の豊かさを守る取組
海の豊かさを肌で感じて育ち、生業としても享受している金澤さん。長年海を守る取り組みも注力しています。「五島の海は美しく、魚の聖地とよばれるものの、年々その生態系が変化している事は明らか。実際に、植食魚によって海藻類が減り、卵の産卵場所が無くなり、魚自体が減っています。また、プラスチックごみからなるマイクロプラスチック(※1)の影響も大きく、以前はあまり見る事のなかった腫瘍を、魚の内臓に見つける事が増えました。」 そんな状況を改善しようと、駆除対象となり、捕っても廃棄されるイスズミ、アイゴ、ガンガゼなどの植食性魚を使った魚醤の製造販売、発泡スチロールが主流の配送の箱を撥水加工の段ボール箱への変更と、一歩ずつ取り組んでいます。
※ 1マイクロプラスチック:直径5ミリメートル以下の小さなプラスチックのこと。プラスチックはいつまでたっても自然分解されずに細かな片として残り、海中のごみとなります。
海にやさしい漁法、海にやさしい消費
魚の値段の下落も問題の一つ。未利用漁が活用されることで、漁師さんたちの収入増加も期待できます。また、一本釣りや定置網といった海にやさしい漁法を維持することも重要です。そして、食べ手となる私たちが、そういった魚や商品を選ぶことで海にやさしい消費に繋がります。金沢さんはその間に立つ立場であるからこそ、この二者を繋ぎ、人も海も豊かな循環が途切れないよう次の一手を考えます。
近年提唱されたSDGs(持続可能な開発目標)の中には、「海の豊かさを守ろう」という目標も。こういった世界の流れも後押しになっています。
「金沢鮮魚と付き合えば、世界がちょっと良くなる、そう思って応援していただければこれほどうれしいことはありません。」移動が少し辛くなった昨今、島外のご親戚、ご友人に、金沢鮮魚のお魚で五島の海の恵みを贈りませんか?
金沢鮮魚
TEL:0959-86-0716
住所:〒853-0214 長崎県五島市富江町土取1237
金沢鮮魚公式LINE
【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2021夏号