fullyGOTO2024春号 表紙の顔 神川 航大(かみかわ こうだい)さん
今回の表紙は小値賀島で牛の畜産業を経営する神川航大(かみかわ こうだい)さん。小値賀島出身の 25歳。普段はまんがを読んだり寝ること、そして何より動物が大好き。牛飼いとなって 5年、日々牛たちに学びと癒しをもらいながら奮闘中です。
小値賀では初めての表紙を飾っていただきました。撮影のスタートは姫の松原。気さくで人懐っこさがにじみ出る笑顔の神川さんですが、最初はさすがに緊張の様子。そんな中、行きかう車はほとんどが知り合いで、恥ずかしそうにしつつも、本来の笑顔が戻ってきました。表紙は満面の笑顔バージョンもあったのですが、せっかくなので少し雰囲気を変え、真剣な眼差しの神川さんをチョイス。背景は小値賀の名所、五両だきです。
畜産業を学び、牛飼いの道へ
神川さんは、お爺様の稼業を継いで5年目の2代目。島には大体40軒の牛舎があって、漁師とともに島の主要産業です。
小さいころから牛舎へ遊びに行ってはお手伝いをしていたそうで、「動物が大好きなので、牛はかわいいし、とても楽しかったんです。進路を決める頃になって、小値賀には絶対帰ってきたいし、牛飼いになろうと決めました。」こうして進学は長崎県の農業大学校へ。ここには畜産学科があり、専門的な知識を身に着けることができます。「卒業までに必要な資格も取れるので、地元に帰ってすぐに仕事を始められるのもあって進路を決めました。福江島で牛飼いをしている先輩や後輩もいますよ。ちなみに福江では牛の子供を『べべんこ』と言うそうですが、こっちでは『べぇぼう』と言います。」
やりがいと寂しさと
牛の畜産業は、母牛の種付け・出産、そして生まれた子牛を9ヶ月の間育て、せりに送り出します。「出荷された子牛たちは、佐賀牛や松坂牛など各地方のブランド牛に生まれ変わります。学校で基本的なことは学びましたが、やっぱり育てる土地や餌など条件はそれぞれなので、やってみないと分からないことだらけです。でも試行錯誤しながら育てた牛がA5ランクなど高い評価を受けたと聞くと嬉しいです。」とはいえ、せりの時期は懐いてくる牛がいたりするとやはり寂しい気持ちも出てくるそう。
繋げてくれた縁を大事に
「今は35頭の牛を飼っています。牛飼いの先生について、母牛の買い付けで島外に出ることも多いです。そういった中でいろんな人と知り合えて、世界が広がっていくのも楽しいです。牛が繋げてくれた縁だなぁと感じます。これからは他の島の牛飼いの人とも繋がって、意見交換したりも出来たらなと思っています。生き物相手の仕事なので、休みがなかったりもしますが、動物が好きな人にはお勧めしたい仕事です。」何より牛に毎日癒されています、と語る神川さん。これからも五島の畜産業を牽引していく次世代エースとして、期待しています。
【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOT2024春号