fullyGOTO2024 秋号 表紙の顔 舛田 充(ますだ みつる)さん
今回表紙を飾ったのは、新上五島町で五島手延うどんの製造販売を行っている「株式会社ますだ製麺」の舛田充さん。昨年秋に地元へUターンし、3代目として家業を継ぐべく修行中です。
秋号とは言え撮影は夏真っ盛り。どの撮影地からも透き通った紺碧色の海が見られました。「海を見ると落ち着きますし、山より海が好きかもしれないです。」お休みの日はよくドライブで海へ出かけるそうで、この日もそんな海の近くでの撮影もあってか終始リラックスした雰囲気。とても良い表情がたくさん出ていました。
物心ついた頃から、うどん製造が生活の一部にあった舛田さん。「小学生の頃から、朝起きて工場に降りると製造作業が始まっているので、手伝いをしていました。それが当たり前のようにやっていたと思います。小学校の文集には『うどん屋になる』と書いてました。」と家業への想いは幼い頃にすでに芽吹いていたようです。「でも大学進学で島外に出ましたし、そのまま物流の仕事を3年ほどしていました。そこからいろんなタイミングが重なって、帰ってきた感じです。」帰ってきてからは、製造を学ぶ日々。材料は同じでも、その日の気温、湿度、天気で水加減や乾燥具合が変化するため、1日たりとも全く同じではないそう。「単純作業とも取れるかもしれませんが、工程が少しでも変化があれば、自分の中では新鮮さを感じるので、楽しいです。」現在は、水分を入れるところは社長であるお父さんが行っていますが、それ以外のことはできるようになりました。
『五島手延べうどん』は麺の細さに規定があり、その細い形状が特徴です。また、製造工程で2・3回つばき油を練り込むことで、伸びにくくツルッとした舌触りが生まれ、子供から大人までファンの多いうどんです。ますだ製麺では梅、わかめ、あご、トマト、竹炭、唐辛子、黒ごまなど、違った味や色合いが楽しめるうどんや、こだわりの素材で作る高級麺と多種展開もしています。しかしながら彼自身はプライベートではあまりうどんを食べる機会がないらしく、「生まれた時からうどん屋ですが、家庭ではうどんは出てきません。でも試食だったり食べ比べだったり、仕事では五島うどんを食べますよ。材料の違いは結構分かります。」と笑顔で話してくれました。
ますだ製麺は、先代が通年販売できる商品作りをしようという想いから始まりました。そして生まれた五島うどんを、上五島の名産品にして広める活動に尽力し、今では日本の三大うどんの一つとも言われるほどに。昭和63年の冬には直営の五島うどん専門店『竹酔亭』をオープン。地獄炊きをはじめ、五島うどんを食べることができ、地元の人を始め観光客にも人気のお店です。「従業員の方達も、自分が子供の頃からいる人が多いので、職場の居心地はすごくいいです。自分自身の目標は、長く会社を残すこと。20人ほど従業員がいますが、若い世代が少ないです。なので、自分の世代の従業員を増やしていくことを頑張りたいと思っています。」
五島のソウルフードとも言える五島うどん、食卓にも贈り物にも喜ばれる逸品です。さらなる五島うどんの繁栄と舛田さんの今後の活躍、応援しています!
【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2024秋号