島宿御縁 岩永 太陽さん
1980 年生まれの松坂世代。地元である小値賀島で島宿御縁を経営する 5 児の父。持ち前の行動力で自身も宿も常に進化中!
憧れた外の世界へ
小学2年生の時に両親の故郷、小値賀島に移住し高校生まで過ごします。「子供のころは、野球の遠征で行く佐世保の街などが楽しくて、都会というものに憧れて…島を早く出たい、その気持ちばかりでした。」そんな少年時代、ひたむきに頑張ってきた野球で島外を超えて国外に出るチャンスが訪れます。「野球留学でアメリカに行ける事になって。英語は話せないけれど、とにかくこの機会は掴まないといけないと思い、渡米しました。ここで異文化というものを体感したり、すごい資産家の方の家を訪れたり、自分自身の考え方や行動の仕方は、まさにこの経験が大きいなと思います。向こうは本当に競争社会なので、自主性がないとダメ。でも皆に必ずチャンスは与えてくれるんです。だから、そのチャンスを無駄にしないために食らいつく。つたない英語でも手をあげて、質問して、友人に助けを求めて、そんな日々が今の力になっています。」
帰国後見えてきた日本の魅力
アメリカの大学を卒業した岩永さんは、帰国後島には戻らず大阪へ。まだまだ世界を見たいという思いから、数年働きお金を貯めたら、アジア圏などをバックパッカーとして旅する生活を送ります。「大阪で仕事をしていた時に、外国人向けのバーの経営をした事がありました。そこで起業や経営の経験ができたのは大きかったです。そして20代最後の年にワーキングホリデー制度を使って、接客業で働きながらオーストラリアで1年間過ごしました。」再び帰国した岩永さんは、オーストラリア人の方が営むツアー会社に就職。なんと社長は、以前小値賀島でALTをしていた先生。「この縁は母が繋げてくれました。海外からくる旅行客向けに、いろんなツアーを行っている会社でした。その中で、都心部以外に焦点を当てるツアーの企画があり、小値賀ツアーを行ったんです。そしたらなんと大好評で、『日本の中で一番面白かった!』という言葉までもらって。驚きと共に、自分の中で故郷や地方の価値観が少し変わり始めました。」
小値賀の魅力
何が魅力的だったのかをひも解くと、小値賀の魅力があふれてきます。「小値賀島は、1日あれば観光地を見つくしてしまえる大きさです。でも何が面白かったかと問えば、島の人とのコミュニケーションだったと返ってきたんです。大陸に近く、様々な船が寄港していた歴史からか、島の人々は海外の人でも小値賀弁で話しかけたり挨拶するような人々が多く、そんな風土が心地よかったのかなと思いました。」小値賀にもっとたくさんの人が訪れてほしいという思いや、結婚や第一子誕生もあり、ついにUターン。自身の旅や、接客業、経営の経験などから宿の開業を決意し、2015年に島宿御縁を開業しました。
常に挑戦
開業後も常に変化を続ける島宿御縁。新館やゲストハウス、そしてコインランドリーも新設しました。ワーキングホリデーを利用して海外から来てくれるヘルパーさんも途絶えることなく、世界中からこの宿を目的に小値賀を訪れる人も多いそう。「『日本一外国人が集まる宿』をコンセプトに作ってきたので、本当にたくさんの方が世界中から来てくれているのがうれしいです。コロナ禍があったように、世の中は変化していくので、変わらないものを大切にしながら、その時々のニーズを汲取って常にチャレンジしていきます!」ピンチをチャンスに、分かっていてもなかなか行動に移すのは難しいもの。でも岩永さんなら出来てしまうだろうと確信させる力があります。会えば元気になってしまうまさに太陽のような人柄で、影に見えたものも輝きます。これからも色々なものを照らしてください!
島宿御縁
電話:0959-56-2588
住所:長崎県北松浦郡小値賀町吹郷1359-1
【取材・執筆・掲載】fully編集部
【掲載先】fullyGOTO2024冬号