fullyGOTO 2020年 夏号
表紙の顔 田本 雅史さん
今回、夏号の表紙を飾ってくれたのは、田本雅史さん26歳。
出身は新上五島町、有川地区。高校時代に上五島を離れ福岡県で約10年生活。今年の2月に地元へUターンし、自分にできる仕事を試行錯誤していたところ、家族の意思を受け継ぎ、起業することを決意。現在は久しぶりの五島での時間を満喫しているとのこと。はにかむ笑顔で、新事業への夢を語ってくれました。
- Uターンのきっかけ
家族が培ってきたものを大切にしたいと語る田本さん。上五島へ戻る大きなきっかけとなったのは、父親の意思を受け継ぐ決意があったからだそう。
「10年以上前になりますが、建設業を営んでいた父親が他界しました。
父が残した会社を違う形で引き継げないかと考え、大学時代に経験のあった農業を活かしたいと思いました。
父親は五島の島おこしのため、五島灘という酒造会社も経営を始め、建設会社と両方を経営していました。そこで芋焼酎の原材料であるさつまいも作りはもちろん、お土産品等も開発する、農業の会社を起業しました。」
- 起業とこれから
Uターンしてすぐに代表取締役という、何ともパワフルな田本さんの行動ですが、そこには強い意志と、しっかりとしたこれからのビジョンがありました。
「Uターンすると決めても、今の五島はあまり仕事がなく、戻るなら自分で何かやった方がいい、という想いはありました。大学時代のプログラムで、農業の体験に取り組んだことがあり、地域の農家さんを訪ねて打ち込んだ時期がありました。大変でしたが、とにかく農業が楽しいなと思ったんです。
そこで父が創り、現在は兄が専務をしている五島灘の存在もあったので、さつまいも等の野菜を栽培する会社を立ち上げようと思いました。
現在はさつまいもの栽培を中心に行なっていますが、今後はそれを生かしたお土産品の開発もしていきたいと思っています。
五島特産のかんころもちだけでなく、もっと他のお菓子やスイーツをたくさんの人に届けていきたいと思っています。また自分が五島に帰ってきて、いろいろな飲食店がオープンしていました。
農家にしかできないカフェなんかも、ゆくゆくは経営してみたいと思っています。」
- 五島での生活
実に10年ぶりに五島での生活となった田本さんですが、島でのライフスタイル、プライベートを含めやってみたいことについてお聞きしました。
「帰ってきて2ヶ月ですけど、生活がとても規則正しくなりますね。(笑)基本的には午前9時にはさつまいもの畝を立てる作業に入っていますね。都会と比べてやはり時間がゆっくり流れますし、自然が綺麗で、身近な人がたくさんいて安心できます。
休みの日は甥っ子を連れて魚釣りによく行っています。
アジ、イカ、青物も狙っていますけど、ポイントがまだ全然わからないのでこれから広げていきたいですね。あと今は難しいかもしれないですが、映画の脚本家が夢でした。
もし今後余裕が出てきたらその夢にもチャレンジしてもいいのかなとも思っています。」
- 若い力で五島を盛り上げたい
「自分は26歳ですが、同じ仕事場に、五島に移住してきた同い年の仲間がいます。やはり五島にはない発想をたくさん持っているし、刺激を受けます。これから島の未来を創るためにはやはり若者の力は必須だと思うので、同年代とはもちろん、観光客やIターン者とたくさん交わり、一緒になって島を元気にする取り組みにチャレンジしていきたいと思っています。」
もの静かな印象ですが、しっかりと島の未来を考え、そして家族から受け継いできたものを守っていきたいという強い意志をインタビューで伝えてくださった田本さん。楽しいと感じたものには没頭し、そこから派生させるアイディアの多さはここでは書ききれないほどの楽しみが詰まっています。
始まったばかりのプロジェクトですが、きっといつか島の未来を照らすこととなると思います。
fullyGOTO2020夏号掲載
【取材・執筆・掲載】fully編集部